「紫式部日記」について

雛人形セット「紫式部日記」を開発したのは、10数年ほど前に東京の西武百貨店の依頼で雛人形セットを開発したことが始まりです。しかし、当時は雛人形セットと言えば畳1枚位はある大きいものが中心で、こうした小さいセットに対してはあまり関心が集まりませんでした。

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(渋谷西武での展示がデビューでした。)
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当時のオリジナル作品です。赤がきついですね。
時が流れ、百貨店でものを買う時代から、ネットや通販で買う時代がやってきて、私の作る雛人形も、1対の雛人形から初節句用の雛人形セットを求めている女性、特に主婦の方からの要望が大きくなり初節句を間近にしたお母様達から、真剣な問い合わせが来るようになってきました。
その内容は
「大きくなくてもいいから可愛い雛人形セットがほしい」
「我が子には個性的な雛人形を持たせてあげたい」
「おひな様の収納が簡単で、出す時に楽しくなるものが欲しい」
「雛人形の収納がコンパクトな物を、娘に持たせてあげたい」
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箱の中には敷き布、雛人形をコンパクトに収めています。
(お客様からのメッセージ
そこで、私たちは「お母さんが本当に喜んでくれるもの」を考えました。こだわるからといって、豪華になりすぎて大きくなってもいけないし、かといって小さすぎて存在感が無いものになっては、、。そのぎりぎりのところで生まれた大きさが「寛永雛」や、「紫式部日記」「万葉の雛」です。大きさの目安として身近にあるNTTのタウンページを広げないで床においてみてください。その大きさが「紫式部日記」を組み立てて置いたときの大きさです。


その「紫式部日記」どうして生まれたのか。
それは1枚の絵がきっかけです。(紫式部日記絵詞)
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この絵巻物の色調を見ていて、イメージしたのは雛人形セットを箱から出す段階から心が高まり、手書きした絹の手ざわりや、貝合わせを袋から出したり、おひな様を1つ1つ並べてゆく行為にときめきをを感じてもらうようにしよう。
そのため、こだわったものが3つあります。
1つは清家文香さんが作る布です。
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撫子(左)さくらに藤
妊娠、出産、育児と多忙な日々の中で、桃の節句に癒されたいのはお母様なのかもしれませんね。だから、雛祭りのおひな様は「お母様を心から癒すもの」でなければいけないかもしれません。
下の布は、麻と絹の2枚の布を違う色に染め上げた2枚と、下地の赤、計3枚が重なり合って織りなす色合いは、ほかにたとえようのない美しさです。20101209_1684470
撫子(なでしこ)ナデシコ
もう一枚の布は選び抜いた絹に、清家文香が直接1枚1枚手描き彩色した避寒桜と藤の花です。下地がない布に雛人形の配置を考えながら、空いたスペースに花びらを描いていく事は、美大で染色と描写の勉強した清家文香ならではの手仕事です。
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桜に藤
布の清家文香さんのブログでも説明してくれています。
2つ目は羽子板や貝合わせ、こま犬などの小物の数々です。女の子にとっては小さきものシールやバッグなどの小物は、お出かけ必修のアイテムです。平安の頃も、におい袋に貝合わせや百人一首などを入れてあそびに出かけていたはず。みかわ工房ではこれらのアイテムを2人の作家が下地作りから仕上げまでを行い、こだわり抜いた作品にしています。
こま犬は犬筥(いぬばこ)といって、江戸時代から大名家の嫁入りの際には、新生児の枕元に置き、我が子の幸福を願うお守りとしていました。また、犬はお産が軽いところから、安産のお守りとしても用いました。
ひめ羽子板は、お正月の厄払いとして古くから用いられ、子ども達は羽子板で遊んだりもしていました。羽子板には関東の「押し絵羽子板」と、京都風の御殿で姫様達が物語を繰り広げている「京風羽子板」の二種類があります。みかわ工房の羽子板は、古い京風羽子板を模した物で、普通の羽子板のサイズをやや小さくし(10cm、長さが25cm)源氏物語絵巻を描いています。むしろ小さい面積に同じ絵柄を描くわけですからより精巧になっていると思ってください。羽子板は10種類の中からお選びいただくことができます。完成した羽子板は縮緬で作った手縫いの袋に入っています
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ひめ羽子板                  貝合わせ、こま犬
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羽子板には台が付きます(桐) お子様の名入れも可能(無料)
ミニ貝あわせは、わざわざ小さい蛤(ハマグリ)を選定し、中の面に金箔地の1組と、白地の貝あわせ1組に私が季節の花を1つ1つ手書きし、清家文香さんが手縫いした貝袋(正絹)に入っています。
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屏風もすべて工房で手作りしています。金地を張ることから周りのヘリに至るまでハンドメイドにこだわり、その上から私が直接絵の具で「枝垂れ桜」を手書きしています。一方ぼんぼり、この場合油灯になりますがこれも和紙を台座に結ぶことから、色つけまで私たちが工房内で手作りしています。
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雛壇(雛段)の作り方。
みかわ工房の雛段は、コンパクトを第一に考えた非常に早くて丈夫な雛段です。作り方は簡単です。横板二枚をつなぐ板を並べーー上と下から差し込みーー赤い布の付いた台の部分を載せるだけで完成。その上に購入された「敷き布」をふわりと置けば緩やかな曲線を描いた雛壇ができあがります。動画でもご覧いただけます
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おひな様のお顔
内裏雛は高さ5~6cmで1組が手のひらに載る大きさです。男雛はやや濃いめの衣装をして、女雛は朱赤色の十二単衣をまとい、手には松の柄が入った『檜扇』を持っておられます。
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三人官女は三体が片手に載るほどの大きさで、立ち姿の二人と三方を持った官女になっています。いずれも持ち物は金箔仕上げにしています。大きさは5cm程度です。
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最後の五人囃子は、向かって右手から声の高い謡い方、横笛、小鼓、大鼓、太鼓とだんだん低い音へ並べて行きます。大きさは4cmほどです
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3つ目は、こうしたアイテムを入れる箱です。桐箱といっても大量生産の物とは違い、大きさのバランス、コーナーの仕上げなどに細心の注意を払い、二重の紐を通すことでおひな様をいつまでも守り続けます。そして、この桐箱に私が手描きで桜の花びらを描いています。柔らかい色調がきっとお母様の心を癒すことでしょう。
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「紫式部日記」の桐箱

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