寛永の華・几帳の開発

几帳(きちょう)は、4年ほど前から取り入れた「寛永の華」の装飾品です。きっかけは大河ドラマ「風林火山」で、由布姫(ゆうひめ)役の柴本幸さんの背後に置かれていた几帳の美しさに引かれたことからです。その時テレビの画面をデジカメで撮影し、翌日清家文香さんに「これを作ろう」と言うことにしました。
几帳は、平安時代に寝殿造りの広い空間に几帳を使うことで、ほどよい空間に区切ったり、周りからのぞき込まれないようにするなどの役目をしていました。また、几帳の模様などによってその住まいの人間の趣味の善し悪しや、人格や家の格までをも映し出してしまう程の室内屏障具だったたそうです。
昨年好評だった、大河ドラマの「篤姫」などにも宮崎あおいさんの背後にもたびたび登場しています。
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几帳は台から2本の棒を立ち上げて、上に横棒を出してこの棒に布(帳子)を掛けた物で、簡単に組み立てたり移動できるようになっています。私も最初はテレビのイメージ通りに、ピンクの薄いオーガンジーを重ねて作る事にして清家さんにも作ってもらいました。
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2年目、ある時彼女が作ったほかの布のための手描きの花を見たとき、無垢の白地に花びらを可憐に描いていたのを見て、「これだ」と思い彼女が好きな型紙を使った地模様入りの2種類を加えて3種類の几帳を完成しました。
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2作目となった白無垢の絹に山桜を描いた几帳


1枚目の几帳は、白無垢の富士絹(肌着どに使われる優しい手触りの絹地)に清家文香が1枚1枚に「山桜」を下書きなしで直接描いています。野筋(上から下がったひも)も染めた絹を袋にしてこの上に菱模様を金箔仕上げしています。とても細やかな仕事で、一見すればその美しさに魅了されると思います。20101209_1684616
白い絹の手書きされた山桜の花
2枚目の几帳は、染色の清家文香が女子美時代から好きだった型染めの技術を使って、あらかじめ柿渋を塗った型紙に模様を書き、これをカッターでくり抜き、その穴に糊を置いて、それ以外を一度ピンクに染めて、染まった後に糊の部分を洗い流して白く浮き出た花やツルに、また彩色するという複雑な工程を経てできあがった物です。
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「桃色に枝垂れ桜の几帳」
3枚目の几帳も、2枚目と同様にして柿渋でできた型紙をカッターで「菱形模様」にくり抜いてこの部分に糊を塗り、色が入らないようにマスキングして淡い緑に染め、染め上がった物を洗って白地を浮き出させています。紫の野筋(ひも)との対比がきれいです。
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若菜色のぼかし菱形文様の几帳
几帳の背後にある木製の棒などの細工は、友人の君山さんに頼んでしっかりした物を作ってもらっています。
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