寛永雛について

雛人形みかわ工房の「寛永雛」は、20年ほど前に発表した雛人形セットです。上下3段の雛壇に内裏雛、三人官女、五人囃子計10体を配置し、大きさや豪華さを競う雛人形メーカーとは一線を画し、組み立てたり、飾り付けする際のコンパクト化や、片付けて部屋に収納する際には小さくコンパクト納まる様に研究して作った物です。
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寛永雛、ロ(価格44000円)
この雛壇を見てください。シナ合板で作った台は私の友人で木工家の君山さんに依頼して、精密な手仕事で作ってもらっています。プラスティックが主流の中で木にこだわったのは「見えないところにも木の温もりにこだわりたい」事からです。その上、組み立てや解体は数分で出来るほどカンタンで、大きさは組み立てたときの大きさが新聞紙の半紙ほどの大きさですから、場所をとらないことも特徴の一つです。
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さらに台に敷く布がしなやかに垂れるように、あらかじめ下地となる赤布を台に貼っておき、布を重ねた時に布がしなやかなカーブを描くようにしています。(動画)
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(雛段)台の大きさ28×28×19cm
次に屏風ですが、これもとことんこだわっています。プレスした厚紙の表に金箔地の紙を貼り、1枚1枚手描き彩色で松竹梅や藤や紅梅などを手書きしています。肝心なのはこの屏風のヘリ(縁)です。(動画)言わないと判らないと思いますが、これは京都の金襴緞子を扱う会社にオーダーして作ってもらったもので、幅2cmほどのヘリを私たちが1枚1枚手張りしています。動画
20101209_1684419(屏風写真)大きさ10,5×36cm
ぼんぼりは、さすがに私たちでは作れないので、静岡の職人さんに作ってもらっています。プラモデルを作る工場に頼んで黒い型を作ってもらい、内側の布はお婆ちゃんが1つ1つ小指を使って貼り、表には桜の花びらを手描きしてくれているのが分かりますか。高齢化が目立つ分野でこういった手作りの物をいつまでも大事にしたい日本の技ですね。
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(ぼんぼり)大きさ4×9,5cm
雛人形に敷く敷き布は、これまで「雛段は赤の毛氈」と言うのが日本の常識のようにあったものを、みかわ工房が日本で初めて正絹をピンクに染めて使用したり、丹後ちりめんを使用したり、金箔仕上げをした布を雛段に試みたのはみかわ工房が最初だと自負しています。(動画)
20101209_1684421(敷き布A)価格52000円
20101209_1684433(敷き布B)価格52000円
そのために、染色担当の清家文香さんは京都の丹後地方をレンタカーを借りて丹後ちりめんを探すことからはじめ、持ち帰った正絹を1枚1枚染めてみて、何処にもない「ユニークでかぐわしい布」を生み出しました。
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(布えらび)
最後に雛人形セットを入れる箱です。
箱の大きさもタウンページにこだわり、この大きさに収まるように努めました。紙箱は厚手の段ボール紙に四国産の和紙を貼り、手触り感を大事にしています。(通常この箱になります)
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(和紙の箱)大きさ20×32×14cm
もう一つのオプションの「桐の箱」は、福岡県の木工所に何度か足を運んで桐箱に使う桐材の選定から、箱の厚み、バランス、ひもの結び方、角の処理などを細かく指示して作ってもらっています。(桐箱材料)また、この箱に使っている紐は、長年使っても虫に強く丈夫さを考えて平織りの木綿を使用しています。
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手描きで桜の花を描きます。
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(桐箱)大きさ25×32×17cm
20101209_1684424(紐)
最後になりましたが内裏雛についても触れておきたいと思います。
最初にも書きましたように内裏雛は、顔の表情や服装などを江戸初期の寛永時代に見習って、面長のお顔立ちに、引目かぎ鼻のおちょぼ口にして質素なお顔立ちにしております。頭にかぶる烏帽子や女雛の扇は金箔仕上にしており、変わることのない輝きを保ちます。
20101209_1684426(内裏雛)高さ6~8cm
つぎに三人官女は、官女さんたちに動きを持たせて、内裏雛の静かなたたずまいに対して対照的な変化を持たせています。配置は一般的に右からヤカンを持った官女、中央が3方を持って座っている官女、一番左が柄杓をもって動こうとしている官女となっています。
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(三人官女)大きさ5~6,5cm
一番下が五人囃子で単調になりがちな雛壇に変化を持たせるために、上着や袴にはあでやかな色を使い、雛人形の動きも変化を持たせて「雛祭りが楽しくなるように」構成しています。
20101209_1684428(五人囃子)大きさ5~6cm

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