寛永雛のオーガンジー

寛永雛に使われている布は写真で見ると、淡いピンクだったり淡い赤に見えてしまいますが、この色がでるために布を染める清家文香はとても複雑な作業をしています。
20101209_1684618オーガンジー敷き布(イ)
上の写真を見て頂くと分かるように、薄いオーガンジーの布は2枚仕立てになっていて、その布の下にはもう一枚、真っ赤なやや派手目の毛氈が敷かれています。この毛氈は、外からは見えませんが意外と大きな役目をしています。
1つ目は、下地に布が敷いてあると、上に置かれた薄いオーガンジーの布がしなやかに段を作り、美しカーブができると言うことです。
もう一つは(これが大きい効果なのですが)薄いオーガンジーの布から下地の赤い毛氈の色が透けて見えさせることで、1枚目のオレンジピンクと2枚目がベビーピンク(桃色)が、深みのあるピンクにみえてくるということです。
これは、平安時代に宮廷の寝殿造りに見られたすかしの美しさを再現していることになり、是非皆様も手に取ってみて頂きたいとおもいます。
20101209_1684619
オーガンジー敷き布(イ)
2枚目のオーガンジーは一番上を赤い色に染めて、2枚目のオーガンジーをピンクにすることによって、真っ赤ではないこくのある赤にしています。
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3番目のオーガンジーの組み合わせは、2枚のオーガンジーの色は同じあかね色にしていますが、一番表のオーガンジーに菱形模様の絞りを施し、その上から一部金箔を張ってアクセントをつけています。
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これら3種類のオーガンジーは、薄い絹オーガンジーが持つ「すかしの美しさ」を伝えるために清家文香と私たちスタッフが、多くの実験を繰り返してたどり着いた布といえます。

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