「花衣」は、私が最初に作り始めた雛人形の一つで、民芸品
で男女1体にした人形を見て、これを自分なりに作ってみ
たことがきっかけだったような気がします。
その雛人形を由布院、玉の湯旅館の女将に見せたら、「2つが
くっついているのがね」と言われて苦心の末に思いついたのが、
1組を2つに分けるという単純な思いつきで、初代の花衣が誕
生しました。この「花衣」の名前も玉の湯のスタッフの方につ
けてもらったものです。
当時は雛人形に凹凸は無く、絵の具を使って松や藤を手書きして
いましたが、次第に松や藤の部分にくぼみをつけたり、盛り上げ
をしたりして立体的に雛人形を見せるようになり、一時は衣の衣
装が松や藤、はぎ、キキョウなどの花をちりばめた花衣も作って
みた事もあります。
90年代、東京の西武百貨店での個展などでは、この「花衣」が
1番人気で、今でも多くの皆様がお持ちではないでしょうか。
今年度は、また初心に返ってこの「花衣」を新しい感覚で作って
みようと思っています。