今週完成した貝合わせの写真です。この依頼者は「寛永の華」という雛人形セットをご注文いただいたお客様で、この他に下の羽子板「源氏物語絵巻羽子板」も一緒に注文いただいております。
見てもお分かりのように、色調がやや濃い目に仕上げています。これは、注文の際に「濃い目ではっきりと」か「薄めでやわらかく」を選べるためです。ちなみに下の羽子板は、お客様の希望で「濃い目ではっきりと」描いています。
一方、この羽子板は、「薄めで柔らかく」という希望がありましたので、薄めに描いています。羽子板の細部を比べてみると緑の御簾や几帳の位置や色合いに微妙な違いがあることがお分かりかと思います。これは、私が1枚の羽子板を描くときには、それまでに描いた羽子板や貝合わせを一度忘れて、目の前にある無地の羽子板を見ていて、そこの浮かんできた物語の構図を描いてゆくようにしています。
したがって、1枚1枚の羽子板は、お客様からのご注文と私が羽子板を見ていて浮かんできたシーンで出来上がっているといっていいと思います。
そして、今週も4枚の羽子板が完成しました。この羽子板も、お客様の希望は「薄めでやわらかく」ということで仕上げています。
でも、これですべてが完成というわけではないんです。柄に絹の布をつけたり、裏にサインを入れたり、桐箱に収めたりしてやっと完成して送ることになります。しばらくお待ちください。まだ、年内にお届けできますよ。
さて、今週も新しい羽子板の制作が始まります。写真は2つの羽子板の生地です。これで、1枚の板から作られていることがお分かりと思います。天気のいい日を見て羽子板の美しい形に仕上げようと思います。