最近私のもとに届いた江戸後期の小箱セットです。
1つ1つが10cmにも満たない大きさの物で、木を削って漆を塗り、金具を細工したとは思えないほどの精巧さです。
特にこの「金蒔絵開き箪笥」は、たて9cm横が8、5cmの大きさです。そんな小さい差の中に引き出しが4つ付いて、その内2つは開き扉の内側に入っています。
長持ちは、この様式ですと横幅が20cm近くある物が多いですが、今回の物はわずか11cmで作られており、この箱の表面にも精巧な蔦文様が描かれています。
フタを開くとそこには江戸時代に作られた江戸千代紙が使われていて、時の経過を忘れてしまうような保存状態です。
最後の小箱は、6×4,5cmで、生活用品を入れて運ぶ物「挟み箱」と呼ばれるもので、2つセットになっています。
雛道具を包んでいる箱の包み紙を見ると、「根津」「西須賀町」などの地名が出てきて、グーグルマップで調べてみると、今の東京本郷あたりで、職人が作った物と言うことが分かります。
よく言う「江戸小間物」と呼ばれる物で、精巧さと粋さを兼ねた道具を作る職人さんいろいろな分野にいて、この雛道具にも江戸の心意気が発揮されたのでしょう。今後、冬までにはこの小箱たちと組合わせた小さき物の世界を完成させようと思います。お待ち下さい。