何もないところに何かを生み出すということは、なかなか難しいものがあります。どこかにそのよりどころとなるようなイメージのきっかけがあってこそ何かが生まれる物かもしれません。
このお雛様セットも「紫式部日記絵詞」を見ていてやや薄紫色を帯びたピンクの色調でまとめて段飾りが出来たらと思って、人形や布の試作を行い貝合わせやこま犬を入れる袋にいたっては財宝を入れる袋のような物をイメージして作ってもらいました。桐箱に至っても人形のイメージを壊さないように注意しました。
正面から見ても、気品のあるピンクがお雛様全体を包んでいるような気がします。また大きさもお子様が2〜3歳になって手に持ってお雛様を並べたり、しまったりすることを考えると丁度よい大きさではないでしょうか。
これが、開発当初からこだわって作った小物を入れる袋です。1つ1つ布を染めて手作りで巾着袋を作ってもらっています。これに、お子様が貝合わせや狛犬を入れる姿を想像してみて下さい。
お雛様を入れる桐箱に至っても、箱の大きさをバランスよくなるように縦横、高さの比率を紙の箱を作って何度か試作して作り上げています。また、箱の表や側面に花びらが散る所や、藤の花が咲き乱れる様子を直接手描きで書いています。
お雛様は、親も子供も心から誕生を祝いたいという気持ちが形になった物でなければ、雛祭りをしたいという気持ちになれない物です。みかわ工房は心癒やされる雛祭りが出来ますように作りたいと思います。